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通訳者・翻訳者として日々の活動、他

エンジニアラブな翻訳者たち - AIや簡略化が壊すもの

今日は、英語屋ホンポのロゴを作ってくれた友だちとランチをしていました。彼女は美容師・着付け師なので、浅草とかで観光客相手に着付けと化しています。インバウンドのお客様に対してポケトークを使っても、お客さまが何を言っているのかわからない時もあるとか。結局60%しか正答率が無いということ。

それより気になったのが、多人数をこなすために着物の標準化・単純化をしているそうです。その背景に、どうせ外国人観光客には分かりはしない、があります。なので、襟が単衣に見える着付けがあったら、それは手抜きの着付けで、下着をクリップで留めるだけとか、帯も引っ掛けるタイプで振袖を着付けるという。日本人のお客さまには通じません。どこかでお母さん、おばあちゃん、美容院できっちり着付けをしてもらったことがあるから、一目で見破られる。

 

ここですよね。無駄・むら・無理を取り払う改善システムかも知れないけど、審美と伝統を犠牲にするべきじゃないと思うのです。工場や事業であれば、それは必要。でも、審美はお着物の着付けにとって無駄ではありません。薄利多売の対象でもありません。何か誤解があるみたい。

これを標準化された着物や着付けが機械翻訳で、人間が補正=ポストエディットはするんだけど、何かがチグハグ、みたいなことがでたり、ベテランの着付師さんは眉をひそめながらやるけれども、日本人のお客様は必ずベテランさんが当たる。なんだか、昨今の翻訳業界と似たところがありませんか?AIでなければ通訳も翻訳も無い、みたいな論調は、最終的な判断力を奪って破壊するものだと思うのです。機械翻訳はまだ完璧じゃないんです。ある程度語学力が無いと、使いこなせないと思った方が良い段階です。