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通訳者・翻訳者として日々の活動、他

エンジニアラブな翻訳者たち:英語圏での留学経験が無い劣等感

お久しぶり過ぎです。すみません。東京モーターショー以来力と気が抜けてしまいました。

そう。劣等感。学生時代はホームステイしかしたことありませんでした。留学したいと言ったら母が「おじいちゃんとおばあちゃんが死んじゃったらどうするの?!」って言って反対してくれました。ええ、ええ。祖父は86歳まで。祖母は90歳を超えました。私が大学生当時二人とも70代。

でも、私悔しかったのでビジネスインターンで中年になってから渡米してそのまま在米7年。帰国おばさんになりました。その前は、留学経験がないことにものすごく劣等感がありました。通訳・翻訳始めた頃なんか留学経験のある通訳者さんをあこがれのまなざしで見ていました。今でも変わりません。一生懸命辞書を引かなくても英語が普通の人たちが働く国際人道団体にいるので、インターンの学生さんなんか見てると「すごいなぁ」って思います。するとまた「おばさんも留学しときたかったよ」って劣等感が顔を出す(笑)。

じゃぁ、どうして英語が話せたり、限定的ながら通訳ができるようになったかというと、読む・書くをたくさんしたから。知らない単語をピックアップし、ぶつぶつ言いながら覚えるのです。電車の中でするんですが、とーっても怪しい人です(笑)。自分の思い込みで使っていた表現はJapan Timesなどで矯正しました。手紙の書き方なども。技術は各国規格書と愛しのダミーの論文から言葉を吸い上げてました。
inform 人 of 内容
provide 物 with 人なんて、当時はこんな常識的なことも知りませんでした。

今度のラグビーワールドカップはポケトークのお陰で皆さん不自由がなかったそうですよ。なのになんで英語を勉強するのか。それは機械が無くても直接通じる喜びを得るためです。そして自分の情熱を相手に伝えるためです。

それって、結構幸せなんです。某人道団体で契約があるので伺っているのですが、上野駅経由で通勤しています。すると海外のお客様がよく迷子になっている(笑)。そう言う人には声を掛けます。今日はJRに入ってしまって銀座線を探しているご夫婦でした。私が声をかけることでほっとした顔をなさいますね。こちらも嬉しくなります。もちろんポケトークだっていい。けれど、とっさに声をかけるあなたはポケトークになんて話かけますか?その時、ポケトークに言うべき日本語はなんでしょうか?この咄嗟の瞬間をつかむのはやっぱり自分の脳なんですよね。

サザエさんこぼれ話で、アフリカに行ってボートで川下りしているときに気の荒いカバがうようよいるというのに、日本人観光客がボートから落ちてしまったそうです。そのときとあるおばあさんが叫んだのは "Made in Japan!!!!" だったそうです。びっくりさせる効果がありましたから、もちろん気が付いてもらえて落ちた人も助かったそうです。

今日は某テレビ局のインタビュー用の原稿を英訳していました。「遅くなってすみません」と私が言うと「全然平気。うまいし」ってお客様の反応が返ってくる瞬間はやっぱり木に登ってしまいます。きゃっほー、みたいな。私が、決して楽しいばかりじゃない翻訳や通訳をしているのって、こうした言葉と言葉の瞬間をつかんで皆さんの間に立ちながら、双方の気持ちをお伝えすることで、感謝されるのが嬉しいからだと思うんです。駅で迷える異国のお客様のほっとした顔をみるように、自分の口から出たできたてほやほやの言葉で通じ合える喜びを多くの人に知って欲しい。幸せな気持ちになって欲しいって思う英語屋ホンポでした。

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秋色の葉っぱが増えてきました。