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通訳者・翻訳者として日々の活動、他

エンジニアラブな翻訳者たち:語学もまた国のインフラなり

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まずは上記の記事をご一読ください。

英語の読み書きだけに力を入れてきた日本の英語教育とか、文法ばかりで話せない日本人とか、受験英語ばかりで使えない日本人とか。もう、そんなレッテル貼りはやめましょう。

英語屋ホンポは、書けない、話せない日本の英語教育と位置付けるべき。そして自然災害の多い日本にあっては、語学こそソフトインフラだと私は思います。その視点がない。だからこんなすっとこどっこいなemailが送られてしまうのですよ。

それから、日本は植民地支配されたことがないから外国語が苦手とか言っているそこの、あなた。そう。あなたですよ。そんなの時代遅れですから。今や海外から何万人と日本にやって来るのです。日本から海外に出かける人々も減ったわけじゃありません。話せる、書ける、読めるは最低限でもいいからできないと。観光立国になるためじゃありませんよ。言語植民地化するわけでもありません。国のインフラとして位置づけることを提案したいです。

 

そして、皆さん。機械翻訳の精度は内容によりますが、平均して60%と思ってください。Google翻訳はネットワークを使ってマッチングしたものを探し出してつなぎ合わせるのですが、それは必ずしも人間の理屈に合わないのです。大型台風19号による甚大な被害。言葉の分からない外国人に対して「川に逃げなさい」って、それはありえない。また日本のお役所の翻訳だわ、と思われたのか、懸命な皆さんは避難されたのだと思います。この誤訳を送信した背景に休日だったので確認する職員がいなかったことを上げていますが、そもそも病気も災害も平日の昼間にやってきませんて。

だったら、一人の担当者が外部の翻訳者に投げることも必要じゃないかしら。内部に頼りすぎて外部を巻き込む組織じゃないことが丸見えです。あとはお金をケチっているだけだろうなと思われます。多少のリテンションフィーを払ってでも確保した方がいいです。100年に1回の災害にスーパー堤防はいらないでしょうと言い放った仕分け大臣がいましたが。いま、その100年に1回があらゆる場面で多発している事実。備えあれば憂いなしです。

例えば、3.11のときに、翻訳者たちはSNSを使い世界的なバイリンガルサポートが行われました。私もその一人です。当時ポートランドにおりましたが、あんな悲しい翻訳は今まで経験したことありません。私たちはオンラインで世界中を結んで24/7のサービスを提供できる。それなのに実際の災害では活用されていない。あったとしてもほんの一部ではないかしら。翻訳を機械に任せてお手軽に済ませようという背景に、一般に翻訳は通訳よりポジションが低いことがあると思います。機械翻訳と普通の日本の語学教育を受けた職員で何とかなると思っている市町村、企業のなんと多いことか。文章力、語学力、調査力、背景知識の豊富さを背景とする高度なスキルなのです。文章を書くということは、太古の昔は為政者のみに許された行為でした。また別途書き起こしますが、TOEIC500で翻訳者になれるとか、のっちゃいけませんよ。あり得ませんから。

天災に見舞われ、都度レジリエンスと知恵を蓄えてきた日本。技術と人材をリソースに第二次世界大戦の灰の中からよみがえった日本。そして海外から人々が大勢行き来する我が国にあって、語学もまた国土強靭化に欠かせません。命を守れず、何が国でしょうか。語学も国を運営するエンジニアリングだと思って欲しいです。

今日のお役立ち英語
スーパー堤防
high standard levee, super broad levee (embankment) with multiple functions

そうなんですよ。スーパー堤防は高いんじゃないんです。遊水地を広くとる堤防なんです。調べてみると面白いですよ。