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chikakamiyatransbizのブログ

通訳者・翻訳者として日々の活動、他

翻訳ときどき通訳 - 我が名はAnthropomorphic Crash Dummy (1)

 

新人が聞かされるほら話が二つあった

昔はパラシュートの紐を作ってたさかいね、シートベルト作るようになったもんで敷地に埋めたあんねん。今でも掘り起こしたらとぐろを巻いて出くるわな。ほんまやで。

ダミ子(衝突実験用ダミーの呼び名)はな、壊れてまうと供養してから埋めんのやんか。

嘘。どっちも嘘。でも、ダミーちゃん達は本当にご供養した方がいいよなぁ。
そ れはもう精巧にできている。指がくにゅん、て動く。nodding blok と呼ばれる脛骨のおかげで首がしなやかに曲がる。肋骨 rib cage は人間の骨折を再現するような強度に仕上げられている。腕も脚four limbsも衝突の衝撃で宙を踊るように動く。まるで人間のように。え?そう、ダミーちゃんの親ってね、ご・い・た・い。Embalmed cadavors なのよ。あとは豚さんとか使って、ステアリングホイールのstemのpenetration とか、beamの骨折具合を調べます。そうしてbio fidelityを実現するわけ。

当時ダミーちゃんは一体200万円だったかな。高っ! 

だ からそう簡単には廃棄処分にはしない。胸骨部分が壊れた50パーセンタイルダミーだって、ちゃんと胸骨部分の張替えをする。張替えと言うのはね、鹿の皮で できているから。当時この子は女性と言う位置づけだった。アメリカ人の成人男性100人集めて大きい順に 90, 75, 50 番目と言う意味でパーセンタイルという単位をくっつけます。でもさぁ、これって日本人の大きさに合わない気がする。高さも重さも。脚の長さだって違うし、 座高も違う。いいのかなぁ、っていつも思っていた。

骨は大概ステンレスでできている。頭の中には三軸加速度計というものがあって、衝突実 験中の加速度を計測する。その加速度に基づいて事故による脳の損傷具合をシミュレートするのさ。変位計が胸部や脛骨についている。そうした計測器はハーネ スでコンピュータに接続されてデータが収集される仕組み。後は車載カメラで衝突中のダミーの挙動を撮影する。そうして事故モデルをコンピュータでモデル化 したりする。肉の部分は樹脂。

Euro dummies と US dummies はちょっと違う。今は Hybrid II, IIIが主流じゃないかな?もちろん、マーケットによりダミーは使い分けする。適合する基準が違うし、試験手順や基準がちゃうからね。

せやった。車の事故でな、cravicle 鎖骨が折れるんはな、それは霊に祟られているからやで。ほんま。ほんまやって。

翻訳ときどき通訳 - きっかけは衝突安全のあの会社

結婚をした。見知らぬ土地だった。どこかで働きだしたら同年輩の友人が作れるかもしれない。仕事を探した。たまたま通訳・翻訳の仕事があった。応募した。でもそれは無謀だった。

 

どこが無謀かというと分野が自動車の衝突安全であったこと、しかも、東京生まれの東京育ちで車の運転など考えたことも無かったので、自動車の一つ一つの部位・部品名称が分からなかった。第一、私は通訳も翻訳も勉強したことは無かった。なんたる無謀。なんたる蛮行。

その後は必死。あらゆる機会をとらえて勉強をした。仕事に関係するあらゆる法規を読んだ。SAEペーパーも読んだ。実験場にも足を運んだ(ダミーちゃん達と運命の出会い)。関西弁も覚えた。ここが味噌(ぷぷぷ)。皆さんすらーっと関西弁を使うので東京弁に頭で変換しないと通訳できない。

「そのあわいにある」
「ほかしてもうて」


内線電話を3回聞いて何のことか分からず、変わってもらったことがあったっけ。