chikakamiyatransbizのブログ

通訳者・翻訳者として日々の活動、他

翻訳ときどき通訳 - 週に1回非常勤講師

某大学で経営英語を教えています。

英語べったりじゃなく、組織や経営にまつわることをお題に、学生諸君にがっつりプレゼンしてもらいますの。春セメは「元気の出る組織」。秋セメは「ブラック企業を考える」。要は、学生諸君に社会人になるための心の準備をしてもらおうというわけです。英語で。

 

学生と話すのは面白い。初めての抗議の時に受けた質問はぶっとんでいた。

 

「先生、英語ができなくても単位取れますか?」

あのぉ...

「僕の知らない単語ばっかり」

いや、だからそれは辞書調べてください...

 

おしゃべりしたかったら英語でしなさい、って言ったらシーンとしたな(笑)

最近学生から習った言葉は「普通に」。

 

「先生の授業って普通に難しいですよね。」

それは、難しいって意味?

 

この春の学生はみな優秀で先生孝行な子供たちばかりで助かってます。

 

「ダミーの話とかけ離れてる」と思われる向きもありましょうが、これもまた、翻訳ときどき通訳を始めたことと無縁ではありません。紹介してくださったのは横浜の某翻訳事務所の女性社長でした。某工場長さんの日本語(例えば、why, why, why, も一つ whyとか)をよくもまぁ英語にしたものだと感心して下さり、友達のコンサルタントが言っている小むつかしい日本語もなんとかなるんじゃないかって思われ たそうです。

そのコンサルタントの通訳兼弟子ということで丸々3年間、一緒にお仕事をしました。お金を頂戴しながら学ぶMBAコースって感じでした。今も私は弟子だと勝手に思っています。私のお友達の間では「おふとり様」で通っているこの方は、外資系コンサルファームから独立され、大手企業の様々な人事戦略構築でご活躍中です。

 

この方のお陰で今の社会人講師のお仕事を得られたという感じ。その前も異文化コンサルタントの人たちからも色々学びましたが、おふとり様との仕事に勝るものはありませんでした。フリーになってよかったと思った瞬間でした。男女雇用機会均等法に乗り遅れた世代としては、企業にいてもこのような学びの機会はめぐってこなかったはずです。これもまた無謀と蛮勇を持って挑戦した仕事でした。

 

学生たち同様、私はおふとり様が話していることをあまり理解できませんでした。大変だったなぁ。私をコンサルタントに仕立ててやろうとしてくださったのですが、不詳の弟子はその頃うつ病を患ってしまい、ご期待に応えることはできませなんだ。

でも、おふとり師匠に習ったことを若い世代に引き継ぐべく、8年を経てから自分も一から勉強しなおすつもりで頑張ってます。

 

☆おふとり様とは

友達と映画を観に行ってチケットを購入するとき、「お一人様ですか?」と言おうとしたのか、チケット売りのお姉さんが「おふとり様ですか?」と聞いた。おふとり師匠は日本人としては縦にも横にも大きいんである。

 

翻訳ときどき通訳 - 我が名はAnthropomorphic Crash Dummy (1)

 

新人が聞かされるほら話が二つあった

昔はパラシュートの紐を作ってたさかいね、シートベルト作るようになったもんで敷地に埋めたあんねん。今でも掘り起こしたらとぐろを巻いて出くるわな。ほんまやで。

ダミ子(衝突実験用ダミーの呼び名)はな、壊れてまうと供養してから埋めんのやんか。

嘘。どっちも嘘。でも、ダミーちゃん達は本当にご供養した方がいいよなぁ。
そ れはもう精巧にできている。指がくにゅん、て動く。nodding blok と呼ばれる脛骨のおかげで首がしなやかに曲がる。肋骨 rib cage は人間の骨折を再現するような強度に仕上げられている。腕も脚four limbsも衝突の衝撃で宙を踊るように動く。まるで人間のように。え?そう、ダミーちゃんの親ってね、ご・い・た・い。Embalmed cadavors なのよ。あとは豚さんとか使って、ステアリングホイールのstemのpenetration とか、beamの骨折具合を調べます。そうしてbio fidelityを実現するわけ。

当時ダミーちゃんは一体200万円だったかな。高っ! 

だ からそう簡単には廃棄処分にはしない。胸骨部分が壊れた50パーセンタイルダミーだって、ちゃんと胸骨部分の張替えをする。張替えと言うのはね、鹿の皮で できているから。当時この子は女性と言う位置づけだった。アメリカ人の成人男性100人集めて大きい順に 90, 75, 50 番目と言う意味でパーセンタイルという単位をくっつけます。でもさぁ、これって日本人の大きさに合わない気がする。高さも重さも。脚の長さだって違うし、 座高も違う。いいのかなぁ、っていつも思っていた。

骨は大概ステンレスでできている。頭の中には三軸加速度計というものがあって、衝突実 験中の加速度を計測する。その加速度に基づいて事故による脳の損傷具合をシミュレートするのさ。変位計が胸部や脛骨についている。そうした計測器はハーネ スでコンピュータに接続されてデータが収集される仕組み。後は車載カメラで衝突中のダミーの挙動を撮影する。そうして事故モデルをコンピュータでモデル化 したりする。肉の部分は樹脂。

Euro dummies と US dummies はちょっと違う。今は Hybrid II, IIIが主流じゃないかな?もちろん、マーケットによりダミーは使い分けする。適合する基準が違うし、試験手順や基準がちゃうからね。

せやった。車の事故でな、cravicle 鎖骨が折れるんはな、それは霊に祟られているからやで。ほんま。ほんまやって。

翻訳ときどき通訳 - きっかけは衝突安全のあの会社

結婚をした。見知らぬ土地だった。どこかで働きだしたら同年輩の友人が作れるかもしれない。仕事を探した。たまたま通訳・翻訳の仕事があった。応募した。でもそれは無謀だった。

 

どこが無謀かというと分野が自動車の衝突安全であったこと、しかも、東京生まれの東京育ちで車の運転など考えたことも無かったので、自動車の一つ一つの部位・部品名称が分からなかった。第一、私は通訳も翻訳も勉強したことは無かった。なんたる無謀。なんたる蛮行。

その後は必死。あらゆる機会をとらえて勉強をした。仕事に関係するあらゆる法規を読んだ。SAEペーパーも読んだ。実験場にも足を運んだ(ダミーちゃん達と運命の出会い)。関西弁も覚えた。ここが味噌(ぷぷぷ)。皆さんすらーっと関西弁を使うので東京弁に頭で変換しないと通訳できない。

「そのあわいにある」
「ほかしてもうて」


内線電話を3回聞いて何のことか分からず、変わってもらったことがあったっけ。

 
 

翻訳者ときどき通訳者

はじめまして。関東地方の梅雨明けは未だだけど、

ラッキーが重なってフリーランスの翻訳・通訳業を始めて早15年。2015年からは、そこに大学の非常勤講師という二足の草鞋ならぬ三足の草鞋を履くことになりました。

2016年7月23日に初めて営業を学びました。ええええっ?!でしょ?
その集まりで感銘を受けたことをさっそく実践してみようと言うわけです。
何かというと、自分の知識の共有です。

7年のアメリカ生活から帰国して、非常勤講師業のお話しを頂いた時に、私の知っていることを全て若い世代に伝える、をミッションにしたことと見事にマッチ。

それでは、と、この仕事をするきっかけになった衝突実験ダミーちゃんのことなどしばらく書いていこうかなぁと思います。


まずは気楽~に初めて見ようと思います。